「あなたはきっとロクな死に方しないよね」

離れていた時間を埋めようと馬鹿みたいに求め合った後、ベッド脇のサイドテーブルに無造作に置かれたディーノの銃を弄びながら雲雀は呟いた。

「そりゃあ、仕事が仕事だからなー」

あぶないから、と雲雀の手から銃を抜き取りながらディーノは諦めたように笑った。きっとこの世界で生きていくと決めたときから覚悟していたのだろうと雲雀は思うが、同時に、そんなに情けなく笑うくらいなら普通の人生を歩めばいいものを、とも思う。目の前で弱弱しく笑うこの男は、何に対しても優しすぎるのだ。

「っていうかオレ、最期は恭弥に殺してもらうから」
「なにいってるの……」

僅かに顔を曇らす雲雀の髪を優しく撫でながらもディーノは続けた。軽い口調だったけれど瞳は真剣で、口説かれているような錯覚に陥る。

「だって命乞いしたり拷問されながら死んだりすんの嫌だろ?そーゆー格好悪い死に方はパスだから、恭弥にすぱって殺してもらう。恭弥になら瞑れたトマトみたいになった姿みられてもいいからなー」
「……ディーノ」

髪を撫でていた手が徐々に下のほうへ滑り降り、わき腹をなで上げられた。余韻の残る体には聊か強すぎる刺激に身震いしながらも、雲雀はディーノのコルク色の瞳から目を逸らせない。

「殺すときは後悔しないように潔く、一瞬で終わらせろ」

啄ばむような口付けの合間、吐息と共に紡がれる言葉は残酷で。

「なんにも残らないように、ぐしゃぐしゃにするのもいーかもな」

何も考えたくないのに耳から入ってくる言葉に脳を犯されて。
快楽に流されないように、馬鹿すぎる男を手放さないように、夢中で舌を絡めて。

「ほら、そしたらオレの髪とか赤く染まって……なんだっけ、ヒガンバナ?あーゆーのみたく綺麗かも知んないぜ?」

濃厚な口付けの後にあまりに雰囲気にそぐわない馬鹿なことを言うものだから、まだ呼吸を整えていないのも気にせず、雲雀はぺらぺらと喋り続ける唇にかじりついてやった。余裕のあった瞳が大きく開かれ。

がり、と脳に響くような低音。
離れた唇は血に染まって。

「きょーや……?」
「彼岸花は好きじゃない」

もう一度、今度は傷口を軽く舐めてやると、ディーノの身体が僅かに震えた。

「それから、死にたがる人を殺してやるほど、僕は優しくないよ」
「恭弥……」

眉を下げて、さっきよりも情けない顔で笑う恋人はどうしようもなく馬鹿っぽくて、抱きつきたいほど愛しく思えた。勿論、本当に抱きついたりはしないけれど。というか。

「ごめん、その笑い方気持ち悪いんだけど」
「だって……」
「なに」
「恭弥の愛を感じた」



一度殺して馬鹿を治してやろうか、と思う。

Lycoris