ほんのすこし、寂しくなるときがある。違う。本当は、仕事をしているときも誰かとお茶を飲みながら談笑しているときもいつも寂しい。いつも考えているのは、あの日世界を創った、誰よりも優しいひと。誰よりわたしを愛してくれたあのひとは、間違っていない限り妹のお願いを笑ってきいてくれたあのひとは、けれどあの日、わたしの一番の願いを聞き入れては呉れなかった。今はもう、受け入れている。けれど寂しい。ときどき、どうしようもなく、身体が震えるほどに孤独を感じる。
わたしはずるい。お兄様よりも、他の誰よりもずっとずるくて、心が狭い。だからわたしはゼロを部屋に呼んだ。彼が同じように苦しんでいることを知っているから。それを必死に隠そうとしていることを知っているから。
寂しいとき、辛いとき、それを分け合いたいと思ってしまう。どうしようもなくずるくて、浅ましい。わかっている。わかっているのだけれど、でも分け合う方法を知りながらも避けることが出来るほどわたしは強くない。
目の前の彼もきっと同じように孤独を埋めたいと感じていて、そしてそれが弱さだと知っている。知っているけれど、でもやはり彼もそれを避けられるほどに強くはないから。

彼はひとつため息をついて、片手を顔に向かってもちあげた。
仮面の下から現れる彼の顔は、きっと困ったような表情をしているのだけれど、でもきっと、それさえも仮面に違いない。
そしてあのみどり色の目に映るわたしの顔もきっと。



2008/10/12『あの日あの道に枯れてく』
多分きっとずっと笑えないまま。でもそれでいい、とか思っちゃってるふたりがいとおしい。…でもきっとこんな変な鬱にはならない気がする(笑)