#11 -busters
離れても、生まれ変わっても、
この夏のことを、あの日々と同じように、決してわすれない。

だいすきだから、
2011.04.26 | ep.11

#10 -satoshi honma
これが最後のチャンスかもしれないと思った。
情けない話だけど、子どもの俺には、自分だけの力でどうにかすることはまだできなくて。俺がもたついている間に父さんも母さんも、どんどん変になって。的外れな方向を向いたままで。だから、あの人たちが動いている今しかない。これを逃したらもうどうにもならないかもしれない。そう思ったら少しだけ、頑張ってみようと思えた。 姉ちゃん、

姉ちゃんがくれた、チャンスなの?
2011.04.26 | ep.10

#09 -atsushi yadomi
みんなで食べた残りだという蒸しパンは、塔子さんの味とは少し違ったけれど美味しいものだった。仁太が作ったのかたずねてみたが適当な返事しかもらえなかった。まあ、いずれにしてもあの子達のうちの誰かが、あの蒸しパンを真似て作ったものなのだと思うと、年甲斐もなく鼻の奥が痛くなった。あの子達は以前と同じように家に集まるようになって、嬉しく思うと同時に、けれどあの輪のなかに居るはずの少女と、もてなすはずの妻が居ないことだけが。

時間は止まらないものだと、もう何度も言い聞かせたのに
2011.04.26 | ep.09

#08 -irene honma
町でランドセルを背負った子どもを見かけるたび、芽衣子が近くに居ないかさがした。
中学生になった年には通う筈だった学校の、あの子たちと同じ服を着た芽衣子の姿をさがした。
高校生になるころには、あの子たちは見かけてもすぐにはわからないくらい様変わりしていて、同じように、私は高校生になった芽衣子を想像することすらできない。
だから芽衣子と私の時間はあの時に止めたまま。

動かすつもりはないわ。
2011.04.26 | ep.08

#07 -tsuruko
髪を染めたり、パーマをかけたりはしようとおもったことがないから、もちろん、したことがない。だから私の髪は真っ直ぐで真っ黒。あの娘の、いかにもハーフらしい、色素の薄くてウェーブがかかっているわけではないのにどこかふんわりしている髪の為に選ばれたこの髪飾りは、だから当然、私の髪には似合わない色と形。彼は決してセンスが良いわけではないけれど、今と変わらずに、あの娘を一生懸命想像して選んだに違いない。そう思うとなぜか、そんなはずはないのに、髪飾りが熱を持ったような気がした。

ただの嫉妬
2011.07.02 | ep.07

#06 -menma
なんでここにいるのか、なんてわかんない。
考えても考えても、わかんない。
それとおんなじくらい、自分がどうしたいのかもわかんない。
だって忘れて欲しいもん。めんまのこと、忘れて、家族3人、仲良くずっと一緒にいてほしい。
でも本当に忘れられたら、やっぱり嫌だよ。忘れて欲しいけど、忘れて欲しくない。もうなにがなんだかわかんないよ。なにがなんだかわかんなくて、どうしたらいいかわかんなくて。

めんまはだれに助けてもらったらいいのかな。
2011.05.28 | ep.06

#05 -poppo
何年も経ってるから、変わるのは当たり前だ。ずっと何も変わらず昔のままで居続けるほうが気持ち悪い。そもそも、これはいろんな国を回って改めて実感したことだが、世の中にはいろんな人が居て、個性なんて言葉ではとてもじゃないけど片付けられない。個性的で。みんなばらばら。みんなちがって、みんないい。ってやつだ。要は、おれは、心の中では、本当はみんなばらばらになっていくことも、仕方ないことだと思ってるってことだ。思ってるんだが、どうにも、やっぱりみんなの顔をみてしまうと、ずっとつるんでいたいと思うし、変わってしまったあいつやあいつに落胆したりしてしまう。自分の考えが、真っ向から対立してるかんじだ。と、こういう風に考えるおれも、やっぱりまあ、それなりの年月生きてるから、いつまでもあの頃の純粋なままのアホなぽっぽではないわけで。これも、ひとことでいうと、「変わった」ってことで。
もし、じんたんがいうように本当にめんまが、あのときのままのめんまが、おれたちをみていたらどんなに、

どんなに絶望するだろう。
2011.05.28 | ep.05

#04 -yukiatsu
君と過ごした時間よりも君が居なくなってからの時間のほうがはるかに多いけれど。
それでも。
今でも。
君を思って泣く。

毎日毎日。
この世界の、どこにも居ない君を思って。

駅の人ごみで君を探してしまうたびに。
君と遊んだたくさんの場所を訪れるたびに。
こんなにも泣き叫んでいるのに。

なあ、めんま。

なんで、おれじゃないんだ?

あいつにはあっておれにはないもの、教えてよ。
2011.05.28 | ep.04

#03 -anaru
本当に学校に来ようとするなんて思ってなかった。だから宿海に会ったとき、本当は、素直に感動した。でも言えなくて、フォローもできなくて。背を向けた宿海にかける言葉も思いつかなかった。
私はからっぽなんだ。見た目をいくら変えても、中身がなんにもない。叱ってほしかった、なんて自分本位もいいとこだ。自分のことしか考えてないくせに、本当に考えないといけないことからはいつも逃げてて。
私は今もあの時と一緒。グズでノロマなあなるのまま。見た目だけ変えても、なんにもかわらないままだ。

2011.05.14| ep.03

#02 -tsuruko
あの夏、あの場所で誰よりも寂しい存在だったのは私かもしれない。子どものくせに、子どもっぽいことが嫌いで、何とか大人びて見せようと必死だった。それはきっとゆきあつも一緒。大人びて見せようとすることが逆に子どもっぽいことに、気づけなかった。今なんて、気づいていてもこのざま。あの店で安城鳴子を見たとき、鼻の奥がつんと痛くなるような、切なさみたいなものを確かに感じた。でも私は、今更あの頃には戻れないから。一度ポーズを決めてしまったら、もう身動きがとれなくなってしまうから。
幼稚な恋愛をしている他の子とは違う。あなるもめんまも、じんたんも、子どもだと思っていた。私は子どもじゃない!そんな風に思い込んでいて、でももしかしたら。ううん、きっと。ただ単に、羨ましかったんだろう。ありのままに自分を表現できるみんなが。
理由の無い強がりなんて捨ててしまえばよかったのに。どうして、ひどいことを言ってしまう。どうして素直に、「ありがとう」さえ。

意味の無い鎧では何も守れはしないのに!
2011.05.03 | ep.02 | ノートのお礼をいえないつるこ

#01 -jintan
俺がめんまを好いていたのは事実で。
だからあれは、図星をさされて逃げるしかできなかったガキの感情。

めんまがあの日あの場所で死んだのは事実で。
そのめんまがなぜか俺にだけ見えるということも、俺にとっては事実で。
とりあえず今目の前にいるというのに、めんまの能天気な優しさにかまけて。本来なら最初に言うべき言葉を何一つ言うつもりがないということも、

俺が死ぬまで逃げ続けたいっていう、ただのクソガキの感情
2011.04.26 | ep.01